

DAOを作成するためには、事前に仮想通貨やウォレット、コミュニティツールなどの専用ツールに登録する必要があります。DAO専用のツールを使えば、簡単にDAOを作ることが可能です。
本記事では、DAOの作成に必要なものや作り方をわかりやすく解説していきます。実際にDAOを作ってみたからこそわかった注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
※DAOのことを知らない場合は、以下の記事を先に読んでから今回の記事を読み進めることをおすすめします。
関連記事:【図解付き】DAO(分散型自立組織)の始め方・参加方法を解説
DAOコミュニティの作成に必要なもの
DAOコミュニティを作成する場合、以下にまとめたものは最低限用意しておく必要があります。
- DAOの基盤を作るためのツール
- DAOの運営に必要な仮想通貨
- ガバナンストークン
- 仮想通貨を管理するためのウォレット「Metamask」
- コミュニティツール(Discord)
- 投票管理システム
- 資金管理ツール
- DAOを運営する目的・理念
それぞれ詳しく解説します。
DAOの基盤を作るためのツール
DAOは専用のツールを使うことで簡単に作成できます。代表的なツールをまとめると、以下の通りです。

ツールごとに特徴は異なり、DAO内で使われるトークンを発行したり投票の管理ができるものもあります。外国のツールがほとんどのため、いろいろ触れてみて使いやすいものを選んでいくのが得策です。
DAOコミュニティの運営に必要な仮想通貨
DAOコミュニティを運営していくためには、最低限の仮想通貨を用意する必要があります。会社と同じで、DAOの立ち上げには最低限の立ち上げ資金が必要です。

例えば、イーサリアムチェンブロックチェーンを選んだ場合、イーサリアム(ETH)が必要になります。そのため、利用するチェーンに合わせて仮想通貨を用意しなくてはいけません。
ガバナンストークン
DAOは民主主義の世界です。何か新しいプロジェクトを進めるためには、「ガバナンストークン」を使った選挙が必要になります。


DAOに参加した人がガバナンストークンを持っていれば、自ら新しい提案をすることも可能です。選挙に参加した全員の意見が尊重され、賛成が多いと意思決定が行われます。
仮想通貨を管理するためのウォレット「Metamask」
MetaMaskとは、仮想通貨やトークンを保管・管理するためのウォレットです。MetaMaskには以下の特徴があります。
- 仮想通貨だけでなく、NFTアートの保管も可能
- さまざまなブロックチェーンに対応
- ブラウザ「Brave」「Google Chrome」「FireFox」と連携可能
- スマホアプリとしてダウンロード可能
- 仮想通貨のスワップ(交換)も可能
DAO関連のツールとの連携もでき、決済時などにも活用できます。
ガバナンストークンを保有するためにも登録が必要なので、以下の記事を参考にして登録を済ませておきましょう。
関連記事:メタマスク(MetaMask)の登録方法|スマホアプリ・PC別で徹底解説
コミュニティツール
DAOに参加したメンバーとコミュニケーションを取るためにも、コミュニティツールは必須です。ツール内ではどんなプロジェクトを立ち上げていくのか、いつまでに完成させるのかなどを話し合います。

Discordとはアメリカ発のチャットサービスで、DAOに参加する人同士のコミュニケーションツールとして活用されています。現在のDAOは、Discordを使って組織運営をしていることがほとんどです。
投票管理システム
ガバナンストークンを使って選挙を行うなら、投票を管理するツールが必要になります。DAO内ではどれくらいの票が入り、どれだけの賛成・反対意見があるかを管理しなくてはいけません。
代表的なツールをまとめると以下の通りです。

全てのツールが万能とは言い切れないため、プロジェクト内容に合わせて使い分けをしていくことが大切です。
資金管理ツール
プロジェクトに貢献してくれたDAOメンバーには、お礼として仮想通貨やガバナンストークンの支払いをする必要があります。どれくらいの資金を支払ったかの管理をするためにも、資金管理ツールを用意しなくてはいけません。
代表的なツールをまとめると、以下の通りです。
- Coordinape(インセンティブの付与も可能)
- Sourcecred(価値の測定をしてから支払いができる)
- Superfluid(継続支払い機能が搭載されている)
- Utopia Labs(決済や会計、レポーティングの管理も可能)
運営するDAOの規模によって利用すべきツールは異なるため、使い分けながら最適なものを選びましょう。
DAOを運営する目的・理念
DAOは株式会社と同様に、1つの目標に向かって運営をする必要があります。そのため、DAOを運営する目的や理念を掲げておくことが非常に重要です。
- なぜDAOを立ち上げたのか
- どんな人たちにDAOへ参入してほしいのか
- どんな目標に向かってプロジェクトを成し遂げていくのか
DAOに参加する人は、プロジェクトにかける想いに共感して入ることがほとんどです。そのため、事前にDAOを運営する目的や理念を決めておきましょう。
DAOコミュニティの作り方を5STEPで解説【実際に作ってみた】

DAOコミュニティの作成に必要なものを踏まえた上で、この章ではDAOの作り方を5つのステップに分けて解説していきます。
具体的な手順をまとめると、以下の通りです。
- DAOの運営に必要なイーサリアムを購入する
- メタマスク(MetaMask)にイーサリアムを送金する
- DAO作成ツール『Aragon』とメタマスクを連携する
- Aragonにて投票の設定を行う
- AragonにてDAO用のトークン(ガバナンストークン)の発行をする

それぞれわかりやすく解説していきます。
※動画で確認したい場合は以下をご覧ください。
STEP1:DAOの運営に必要なイーサリアムを購入する
DAOコミュニティの運営をスタートするためには、最低限の仮想通貨が必要です。ここでは、DAOで最も利用されるイーサリアム(ETH)を購入していきましょう。

『コインチェック』は取引手数料が無料でスマホアプリダウンロード数NO.1という実績があります。5分程度で口座開設ができるので、この機会に登録を済ませておきましょう。
関連記事:【初心者向け】コインチェック(Coincheck)登録方法から使い方まで徹底解説
登録が済んだら、以下の手順でイーサリアムを購入していきます。
- コインチェックの公式サイトを開く
- 「販売所(購入)」を選択する
- 「ETH(イーサリアム)」を選択
- 欲しい数量を入力して「購入する」をクリックする
イーサリアムチェーンでDAOを作る場合、最低でも0.2ETHの資本金が必要になります。手続きにはガス代といった手数料もかかるため、余分にイーサリアムを購入しておくと良いでしょう。
STEP2:メタマスク(MetaMask)に仮想通貨を送金する
次に、メタマスクに仮想通貨を送金しておきましょう。以下では、コインチェックからメタマスクに送金する手順をまとめました。
- コインチェックにて「暗号資産の送金」をクリックして、イーサリアム(ETH)を選択
- 「宛先を追加/編集」にて、メタマスクの入金アドレスを追加
- 送金額を入力してメタマスクへ送金する
詳しい手順や送金できない時の対処法は以下の記事にまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:【簡単】コインチェックからメタマスクに仮想通貨を送金する方法を画像付きで解説
STEP3:DAO作成ツール『Aragon』とMetaMaskを連携する
出典:Aragon
次に、DAO作成ツール『Aragon』とメタマスクを連携していきましょう。AragonはDAOを簡単に作成できるツールとして有名です。
手順としては以下の通りとなります。
- Aragon公式サイトを開く
- 「Create your DAO」をクリックする
- 「Connect account」をクリックして、メタマスクを選択する
- ネットワークを選択する(※今回は「Ethereum」を選択)
本格的にDAOを運営するなら、ネットワーク(ブロックチェーン)は「Ethereum」を選択するのが得策です。
注意点として、画像下に書かれている「Testnets」はあくまでテスト用のネットワークになります。DAOを実際に運営するとなった場合、「Mainnets」からネットワークを選ぶようにしましょう。
STEP4:Aragonにて投票の設定を行う
メタマスクとの連携が完了したら、次にDAOに必須となる投票の設定を行っていきましょう。
まず「Create an organization」を選択します。
次に、組織づくりの基盤となるテンプレートを選択していきましょう。(※今回は「Company」を選択)
「View details」を選択後に「Use this template」とクリックすると、DAOの名前を求められます。好きな組織名をローマ字表記で入力しましょう。
次に「Next: Configure template」をクリックすると、投票の設定画面へと移ります。
項目ごとの意味をまとめると、以下の通りです。
SUPPORT (サポートの割合) | 提案を行った際に、「賛成」に投票する必要があるトークンの相対的な割合。50%と設定した場合、50%以上が「賛成」に投票しないと可決されない。 |
MINIMUM APPROVAL (最低承認率) | 提案が承認される前に、提案に「賛成」と投票するために必要な総トークン供給の割合。15%に設定されている場合、未処理のトークン供給の15%以上が提案に「賛成」と投票する必要がある。 |
VOTE DURATION (投票期間) | 投票を行う期間 |

STEP5:AragonにてDAO用のトークン(ガバナンストークン)の発行をする
次に「Next: Configure template」をクリックすると、DAO内で使うガバナンストークンの名前と数量を決めていく画面へと移行します。
項目ごとに入力する内容をまとめると、以下の通りです。
TOKEN NAME (トークン名) | ガバナンストークンの名前 |
TOKEN SYMBOL (トークンシンボル) | トークンの名前を短縮化したシンボルトークン(例:ETH・MATICなど) |
TOKEN HOLDERS (トークンの保有者) | 資金を管理するウォレットのアドレス |
BALANCES (残高) | 発行するガバナンストークンの数量 |
作ったトークンは複数人でも管理できます。「Add more」をクリックすればアドレスの追加ができるので、DAOの組織メンバーに合わせてアドレスを入力していきましょう。
最後に「Review information」を選択し、内容に問題がなければ「Launch your organization」をクリックします。
ガス代を支払って承認手続きを行い、以下の画面へと移行すればDAOの作成は完了です。
【応用版】DAOコミュニティ作成後にやっておくべきこと
DAOの作成が完了したら、以下の手続きも済ませておきましょう。
- Discordにてコミュニティを作る
- Aragonにて資金管理や投票などを行ってみる
- Aragonにてトークンの追加・削除をしてみる
それぞれ詳しく解説します。
Discordにてコミュニティを作る
現状、Aragon内ではDAO参加者同士での直接的なコミュニケーションを取れません。参加者とコンタクトを取るために、ほとんどのDAOではDiscordにてコミュニティを作っています。

そのため、DAOの作成が完了したらDiscordの登録を済ませてDAOメンバーを誘導しましょう。
Discordの登録方法は、公式サイトに掲載されていた以下の記事がわかりやすかったので、ぜひ参考にして登録を進めてみてください。
参考記事:Discordの始め方|Discord
Aragonにて資金管理や投票などを行ってみる
AragonにてDAOを作ったら、実際に資金管理や投票などを行なってみましょう。資金管理は「Finance」、投票は「Voting」にて行えます。
【Financeの画面】
【投票の画面】
資金管理では、入金と出金が可能です。また、投票では新しい提案の作成が可能です。
新しい提案に対して選挙を行い、可決されれば意思決定を行うことができます。
Aragonにてトークンの追加・削除をしてみる
Aragonにて作ったトークンをどのように管理するかは、資金管理を任されたメンバーに委ねられます。トークンを追加するか削除するかは自由に設定することが可能です。
DAOの運営において重要なトークンをどのように割り振るか、調整をしながらDAO参加メンバーに配布をしてみましょう。
DAOコミュニティを作成する際の注意点
DAOを作成する際には、以下の点に注意しましょう。
- ブロックチェーン選びには注意する
- ガバナンストークンの送信・投票にはガス代がかかる
- 日本ではガバナンストークンに対する法整備が整っていない
ブロックチェーン選びには注意する
DAOを作成する際には、ブロックチェーン選びに注意しましょう。選ぶチェーンによっては、手数料が異なります。
例えば、イーサリアムチェーンにてDAOを作ると、トークンを送金する際にガス代がかかります。しかし、ポリゴンチェーンであれば送金する際のガス代がほとんどかかりません。

意思決定には時間がかかってしまう
DAOは参加者の合意によって意思決定が行われるため、参加者が多いと決まるまでに時間がかかるというデメリットがあります。もし問題が起きた場合でも、修正が遅れるリスクもあるので注意が必要です。
ただし、少人数で運営するDAOであれば、意思決定にそこまで時間はかかりません。そのため、どれくらいの規模でプロジェクトを運営するかを事前に決めておくことが大切です。
日本ではガバナンストークンに対する法整備が整っていない
ガバナンストークンはDAOに貢献してくれた人に割り振りるのが一般的です。しかし、ガバナンストークンに対する法整備はまだ整っていません。
例えば、日本はトークンでの税金払いを認めていないことが問題視されています。

税金を払うためにガバナンストークンを手放すことになり、結果的にプロジェクトの継続が困難になる可能性もあります。そのため、常に日本政府の法規制がどのように変化していくのかチェックしておくことが大切です。
DAOコミュニティの作成方法に関するよくある質問
最後に、DAOの作成方法に関してよくある質問に回答をしていきます。
DAOの作成に役立つツールは何がある?
DAOの作成に役立つツールをまとめると、以下の通りです。
【DAOの基盤を作るツール】
【資金調達ツール】
【投票管理ツール】
【資金管理ツール】
- Coordinape(インセンティブの付与も可能)
- Sourcecred(価値の測定をしてから支払いができる)
- Superfluid(継続支払い機能が搭載されている)
- Utopia Labs(決済や会計、レポーティングの管理も可能)
1つのツールで全てを賄うことはできないため、使い分けをしながら活用することが大切です。
まとめ|DAOコミュニティを作って自立分散型組織を運用してみよう
DAOを作成するためには、事前に仮想通貨やウォレット、コミュニティツールなどの専用ツールに登録する必要があります。DAO専用のツールを使えば、簡単にDAOを作ることが可能です。
DAOの運営をスタートするためには、最低限の仮想通貨が必要になります。仮想通貨を初めて購入するなら、初心者でも利用しやすい『コインチェック』を選んでおけば安心です。
『コインチェック』は取引手数料が無料でスマホアプリダウンロード数NO.1という実績があります。5分程度で口座開設ができるので、この機会に登録を済ませておきましょう。
ぜひ本記事を参考にして、DAOの作成を進めてみてください。